IGCSE( 脚注参照)の日本語資格取得に向けた対策の機会を頂き、3人の生徒さん皆、無事に合格基準の評価を頂くことができました。指導経験を通して学んだことは、各々の強みを生かすことの大切さです。

IGCSE日本語試験の出題内容は相反する二つの意見に対して自らの立場を明確にする課題、複数のテーマから選択し、主張型文章または物語型文章を用いて考えを表現する問題が課せられます。

一人の生徒さんは論理的に考えをつなぎ合わせることを苦手とし、主張型文章の指導が計画通り進みませんでした。しかし、ことに物語の創作においては美しい文体表現、流れる様な展開を作り上げ、驚かされるばかりでした。結果として、物語型文章による答案作成に専念することにより合格を達成することができました。ここで、ふと考えさせられました。生徒の強みは伸ばしたかもしれないが、強みを生かしていることになっているだろうか。

ここで言う「強み」とは表現手段の違いを指しています。ある人は言葉、ある人は音、ある人は絵、ある人は肉体と強みとする表現手段は多様です。その強み、言い換えるなら武器は、何を目的とし、何を成し遂げたいのか、何を伝えたいのかという格となる主体が在って初めて生かされます。

表現規則、技術的な指導に偏っていないだろうか、果たして、生徒の強みを生かすために、意思、自覚、願い、判断、責任からなる主体性を培える様にサポート出来ているか自己吟味する機会となりました。

脚注
IGCSE=International General Certificate of Secondary Education(一般中等教育修了試験)
海外の教育機関向けに提供しているイギリス式の義務教育修了資格