「読む」と聞くと何を連想なさるでしょうか。本、新聞、雑誌、読解問題など文字情報を連想なさる方が多いのではないでしょうか。それに加え、文字では表現されていない物事を読んでいます。例えば、料理の香り、絵、音楽など五感で感じるものは全て「読み」の対象と言えるでしょう。人は五感で取り入れた対象に言葉で輪郭を与え、自分、他者と共有し新たな喜びを得ます。まだ文字で描かれていない物事を読み、言葉で輪郭を与える力も養うなら自他の人生に彩りを与えるのではないでしょうか。今回の作品では生徒さんにとって好きな物事を読んで頂きました。

初音ミクの魅力

初音ミクの魅力とは、一体何なのだろうか。それは、彼女の存在自体が概念的であることにある。 なぜなら、初音ミクという聴覚的、そして視覚的に認知できる存在を使う事により自分だけの思いを表現できるからだ。 初音ミク及びボーカロイドは、自分で打ち込んだ譜面と歌詞をそのまま歌い上げることのできるソフトウェアを初めとした存在であり、人間ではないからこそどんな歌詞や音程も完璧に歌うことができるのは人々の憧れる点であろう。また、調教と言った初音ミクの歌い方の変更により、声の表情も豊かになる。さらに、実現できる活動場所も多種多様で、ライブからダンスパフォーマンス、歌舞伎までと言った縛られずに広く活動できるのがバーチャル故の強みでもある。

二つ目の魅力は、初音ミクがクリエイターの想像の幅を拡張してくれるところにある。なぜなら、初音ミクというキャラの性格の設定は曖昧性を持っているからである。それを人々が歌やそれをも超えた絵、振り付け、投稿やグッズへと、各クリエイターの世界観と自由な媒体での解釈を広げることが可能だ。初音ミクの立場とは、アイドルやダンサー、親友などと幅広く、クリエイター達の世界観を加える事によって成り立っているとも言える。

初音ミクの存在は、人間離れした歌唱力と、クリエイターの解釈によってさまざまな初音ミクの姿をどこでも見ることが絶え間なく可能な点が多くの人を魅了している最大の特徴だろう。
                                            

高校3年女子生徒

初音ミク:クリプトン・フューチャー・メディアから発売されている音声合成・デスクトップミュージック (DTM) 用のボーカル音源、およびそのキャラクターの総称。