何のために表現するのか?主張の正しさを立証するため、過去に類の無い新たな小説表現を行うため。様々な目的がある中で、心模様をただ素直に共有するために表現すること、これも価値ある目的の一つではないでしょうか。文体、技法だけに捉われない、作文に込められた、本から得られた生徒の喜びを感じて頂けることを願っています。


 この文章をえらんでいただきありがとうございます。冒頭から突然ですが、1つ質問があります。『あなたは月に何冊の本を読みますか?』ドキッとした方もいるかもしれません。でも、安心してください。なんといっても私は読書が『大嫌い』なのですから。しかし、そんな私でも読めてしまった本があるのです。

短編集 『もう一度生まれる』 作:朝井リョウ


では、なぜ読書が大嫌いな私でも一冊の小説を深堀してよむことができたのでしょうか?種明かしをしましょう。そして、10分後、つまりあなたがこの文章を読み終わるころ、その時にはあなたも一冊の本を読み終えることをここに約束します。(この先は読書が嫌いな人だけ読んでください)その前にこの本を軽く解説していこうと思います。肩の力を抜いて読んで行ってください。


 筆者からは、大学生という『大人』が失敗しても、もう一度生まれ変わって前に突き進んでいってほしいという願いが感じられます。それは、すべての短編集が『大学生の失敗した話』で構成されていてこの本の題名が『もう一度生まれる』ということからわかります。具体的には、大学生活の中で周りと比べて自分には突き抜けた才能もなければやりたいこともないなかで、何かに一生懸命取り組んでいたり才能のある人をみたりするような場面です。他にも大学生ならではの悩みが沢山描かれています。


 また、この本は他の本と違って短編集ごとの関連性が強い作品でした。なぜなら一つの短編集だけでは答えが出ず、ほかの短編集にその答えがかいてあるからです。具体的には、ある短編集の主人公が別の短編集では、わき役として違う見方で描かれているところです。 


 終わりに読書が嫌いな私がなぜ読めたのか?まず私も含めて読書の嫌いな多くの人は 『なぜ自分が読書が嫌いなのか』を知りません。私で言えば、まず長すぎて面白いところがこないままその本を諦めてしまい、ひどい日には同じページを何度も読んでしまいます。次に、登場人物の名前と人物像がごちゃごちゃになることです。他にもありますがとりあえずこんなとこでしょう。つまり、これらをすべて無くしてくれる、そんな本が私にとってのいい本になります。そこで、この本を見ていくと当たり前ですが短編集なので長すぎることはありませんし、文章の初めから山場となるような章もあります。さらにこの本では毎回登場人物の髪型や性格、雰囲気が細かく描かれていて多くて4人程度しか出ないので混乱することもありませんでした。これが私がこの本を読めた理由になります。読書が嫌いな人はその理由を出来る限り細かく考えると読める本が見つかるかもしれません。

最後にあなたにいいお知らせがあります。あなたはもうすでにこの中学生が書いた退屈な本を読み終えてしまったのです。あなたの読書力・読解力の向上につながることを願っています。ここまでありがとうございました。