人は人生の中であらゆる「出会い」を経験します。人、もの、自然、感情との出会い。では「本」との出会いは何をもたらすのでしょうか。それにはどの様な価値があるのでしょうか。1人の男子生徒の「本」との「出会い」から生じた言葉に、その答えが隠されているかもしれません。

「夏の庭」を読んで - 本との出会いと自分の成長 -

 私は、アドベンチャー系の本であるならたくさん読むが、今回、「夏の庭」という本を読んでみてアドベンチャーの本と同じように友情を描いていることが分かった。しかし、今までの本とは違い若い世代に生と死のことについて投げ掛けていると私は読み取れたのだ。だから、私はこのテーマに対して分析をしてみた。結論から述べると筆者の主張は生とは悔いのないように思い出を作ることと死とは生きていることに感謝することではないだろうか。この主張の理由を第二段落で詳しく書くことにする。

ではここでまずはあらすじを述べたい。おじいさんは最初、家で一人暮らしだったけれど三人の男の子が来て生活が少し変わった。初めはこっそりとおじいさんの様子を見張っていた三人だが夏休みにおじいさんと顔を合わせてたくさんコミュニケーションをすることで好奇心から交流へ変わっていく。三人の男の子が来て一緒に家事の手伝いをしてくれたのでおじいさんの生活が孤独から信頼のある人生と変わっていく。 そして、おじいさんが死ぬことによって三人の男の子は思い出を作り、悔いが残らないような人生を歩むことに決めた。思い出と感謝の気持ちがあるからおじいさんと三人の男の子の関係が好奇心から交流へと変わっていることはこの話の流れである。だから、筆者のテーマに対する主張は生とは悔いのないように思い出を作ることと死とは生きることに感謝することではないだろうか。

ここまでで生と死についての筆者の主張をまとめてきたが、ここで、なぜ筆者は若い世代に生と死について書いたのだろうか。特に若い人に生きることと死ぬことは何なのか考えさせるために書いたのではないだろうか。なぜなら、若いときに生と死については自分の人生を積極的に歩むきっかけになるからだ。例えば、仲良くしていたおじいさんの死が三人の男の子の人生を大きく変えたのだ。おじさんが三人の男の子と仲良くなって、おじいさんから教わったこと通して、三人の男の子はおじいさんの死で生きる希望を持ったのだ。このように、筆者は若い世代に死ということを頭に入れて自分の人生に悔いのないように歩むきっかけにすることを示しているのである。 

自分の視点でこの本の題を付け直すことによってテーマに対する主張をまとめてみたい。私がこの本に題名を付けるなら「自分の思い出と生きるきっかけ」だ。なぜなら、良い思い出が作れたおじいさんの死が自分たちの人生を歩むきっかけになったからだ。一方で人は終わりがくることを実感しているので生きているときは良い思い出や自分の人生をよりよくすることに喜びを得ているのである。この本の若い世代に投げかける生と死というテーマについて最後に私なりの結論を考えてみた。それは、生とは悔いのないように生きることで死は生きることに感謝をすること。つまり、人というのは死に向かって心の中で大切にしているものが変わっていくものではないだろうか。アドベンチャー系の本しか読んだことがなかったので夏の庭を目にしたときは題名から平和な本だと確信していたが、読んでみると死のことや人生のことを考えさせられるような内容だった。

本との出会いから今まで考えたことのないテーマを考えるきっかけを得ることができる。例えば、平和な感じの内容だと予想していたが悲しい展開を通って長く生きたいという決心がもたらされる。そして、本との出会いは感情を揺さぶる機会でもある。例えば、大事なことを考えさせる内容の物もある一方で面白さや興奮で感情を揺さぶってくれる本もたくさんある。最後に、本との出会いは、現実にいない登場人物の人間性をとおして自分の成長が得られる。例えば、アドベンチャー系では宝を手に入れるのに仲間と命がけで冒険する登場人物の感情を読むことで勇敢で人に優しくできるような性格に憧れそのようになりたいという思いになる。この夏の庭という本と出会ってから生と死というテーマを考えるきっかけを得た。今後、様々な本を読んでその本が投げかけるテーマを通して自分の考えを成長させたい。

参考資料:夏の庭―The Friends (新潮文庫)  湯本 香樹実 著