こくごネットでは帰納的思考(個々の事実から原則•法則を導く思考)の実践に取り組んでいます。自分が読んで来た本に帰納的思考力を働かせた生徒さんは何を導かれたでしょうか。
本との出会いとは?
私は低学年の頃から映画や本に触れる機会があった。そこで、以前読んだ本の中でランキングベスト5を考えてみた。次がランキング表である。本を読んだ時の学年も記載する。
その際、私が選んだ本はこうなった。
1位:西の魔女が死んだ 小学4年
2位:コーヒーが冷めないうちに 中学1年
3位:カラフル 小学5年
4位:阿佐ヶ谷姉妹ののほほん二人暮らし 小学6年
5位:むかしむかし、あるところに死体がありました 中学1年
これらのランキングから本との出会いとは何かについて考えてみた。
本との出会い、それは経験、知識との出会いである。なぜなら、本を読むことは頭の中で想像し、物語の出来事を体験しているからだ。また、知識とは自分ではない誰かが体験をして得たことを知るものだからではないだろうか。例えば、友人の結婚式で素晴らしいスピーチを聞いた主人公がそのスピーチをした女性に弟子入りし、言葉の素晴らしさを少しづつ知っていくという原田マハの『本日はお日柄もよく』を読んだ。その時、主人公になりきったような感覚で師匠から直接聞いている体験を通して興味をそそられるような気持ちになった。そして、そこにあったことを読むことで言葉の素晴らしさ、影響力という知識を得ることができる。
次に本から得られる知識と経験 VS 本を介さない知識と経験の違いとはなんなのか? 本から得る知識や経験は、人が体験で得ることができる知識を知れる範囲を無限に広げられる。それに比べて自分が実際に体験することで深い知識や経験を得られるのが本を介さない方法である。なぜなら、自分自身が体験した学びは頭と体を直接使った知識だから深さをもたらすからである。ここで、この「深い」とはなんなのだろうか?例えば、小学生のA君が生のオーロラを見たいと思ったとする。日本にはオーロラを見れる場所なんてどこにもない。北極か南極に行かないといけなくなる。もちろん、小学生なんだから行けるわけもないし、親にもきっと反対されるのは目に見えている。そんな時、A君はオーロラ写真集を図書館から借りてくる。実物ではないがきっと綺麗な写真が見れると思ったからだ。予想通り写真集はとても綺麗なオーロラがたくさん乗っていた。実物で見ることはできなかったが綺麗なオーロラをたくさん見れて、A君は嬉しくなった。では、もしもA君がリアルで見れていたらどうなっていただろう。綺麗なだけではないオーロラや不思議な現象が起こっているところも見れたかもしれない。A君が写真集で見たのはあくまで綺麗なだけのオーロラである。やはり現地でオーロラを見た方が人生のベストショットとしてA君の中にあり続ける。印象的だからこそずっと覚えている。本に載っている写真よりも実際に見た方がずっと心に残っている。これが深いということなのだ。
本との出会いを通して自分を知ることは出来るのだろうか?もう一度ランキング表を見てみると私が読む本として「生と死」「生き方」をテーマにした本が多いことに気づいた。さらに、関心のあるテーマは幼い頃から変わっていなかったのだ。自分の年齢に関わらず触れてきた情報には共通のテーマが含まれていた。ここから、人は関心があるテーマにはそれ以降ずっと変わらないのかもしれない。であれば、自分を知りたければ、自分の心がときめく事柄の共通点を探してみることだ。つまり、本との出会いは知識や経験を無限に広げることであり、自分を知るきっかけとの出会いである。
中学1年生女子生徒